「匂い」 (17.6.12)
当社の事務所は、全館禁煙なのでクリーンなオフィスである。というか、誰もタバコを吸わないので必然的にそうなっている。
私にとってタバコの匂いは父の匂いである。もう他界してずいぶんになるのだが、ヘビースモーカーでいつもぷかぷかとタバコを吸っていた。子供の頃は、それが当たり前であったので、父にまとわりついていた私は、小さいながら結構タバコの煙を吸い込んでいたと思う。
最近は、禁煙が当たり前の風潮となってきているので、喫煙者が喫煙場所で肩身が狭そうにタバコを吸っていると少し気の毒に思う。タバコの煙にも免疫があったはずなのに、最近は喫煙所のそばを通って少しタバコの匂いがするとむせそうになってしまう。
父の匂いは、私の記憶の中だけに残っている匂いかもしれない。
(酒井洋美)