「床屋」 (11.11.4)
先日、美容院に行くとシャンプー台が新しくなっていた。聞くと、ヘッドスパも出来るような台に変えたとか。気持ちよくシャンプーをしてもらいながら、ふと、亡くなった父が、床屋によく行っていたのを思い出した。
父はいわゆる5分刈りというのか、短髪であったがとにかくよく床屋に出かけていた。私に言わせれば、どこを切るの?という感じであったが、いつもさっぱりした顔をして帰ってきていた。たしか、結婚して2,3年くらいたった年末であったと思うが、実家に帰省していた時に、父と下の弟と主人の3人で床屋に出かけていったことがあった。当時は東京に住んでいたので、年末年始の帰省も、私の実家の丸亀と主人の実家の神戸の両方に帰っていたので、結構一大行事であった。仕事納めの後バタバタと帰省するので主人も年始を迎えるのに小ざっぱりとしたかったのだろう、一緒についていったのだ。床屋のご主人には、父と弟が2人の3人に間違えられたようだが、しばらくして3人でさっぱりした顔をして帰ってきたのが、妙におかしかった。
父が丸亀の労災病院にしばらく入院していた時も、散髪したいと駄々をこね、病院の許可をもらっていつもの床屋さんに来てもらい、洗面所で散髪してもらったこともあった。散髪もしてもらいたかったのだろうが、お友達でもある床屋のおじさんと世間話をしたかったのだとも思う。
結婚してからは、しばらく県外にいたので、結婚後の父との数少ない思い出の一つである。
(酒井洋美)