我が家の誉れ (16.12.6)
もうずいぶんご無沙汰しているが見覚えのある顔が目に飛び込んできた。Iさんだ。つい先日の朝刊に大きな写真が掲載されていた。記事を読んで、ほぉーっと思わず唸った。Iさんは、我が家の建具一切の製作を手掛けてくれた建具職人だ。そのIさんが今年度の現代の名工に選ばれたとあった。1967年に始まった表彰制度で、県内からの選出は40人目だそうだ。そりゃあ唸るでしょ。思わず・・・。
我が家は、築15年。玄関ドア、靴箱、雨戸、棚、私と子どもの机の天板、各部屋のドア、引き戸・・・。全部Iさんの手によるものだ。Iさんの記事を見つけた新聞を、毎朝広げるダイニングテーブルも。当時からその真面目な人柄と仕事ぶりには感心していた。あれから15年、研鑽を積んで来られたのだろう。我が事のようにうれしかった。
実は、記事を読んで思い留まったことがある。子どもたちも成長し、家族そろっての食事の機会も少なくなった我が家には、今のダイニングテーブルは少々大きい。だから正月休みに一回り小さく大改造しようと思っていたのだ。が、記事を読んで止めにした。すんでのところで、我が家の誉れに刃を入れる愚行を演じずにすんだ。現代の名工が手掛けた作品だ。大切にしていこうと思う。
(松本秀紀)