合同経営月刊報

2025年6月号

令和7年度 雇用関係助成金 改正ポイントまとめ

令和7年度より、雇用関係助成金に多数の変更が行われました。主な変更内容と金額についてお伝えします。

主要改正点一覧
助成金名 変更内容 主な金額
早期再就職支援等助成金 「受入れ人材育成型訓練」の助成を廃止 支給金額設定なし
特定求職者雇用開発助成金 専用コース新設(35歳以上対象) 中小企業:60万円、大企業:50万円
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース) 介護休業要件を「連続5日以上」に変更 40万円
両立支援等助成金(柔軟な働き方コース) 必須制度数を3つ以上に変更 20~25万円
人材確保等支援助成金 設備導入助成対象を追加、制度復活 20~150万円
キャリアアップ助成金(正社員化コース) 支給額を大幅減額 80万円→40万円(一部対象者を除く)
キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース) 区分変更と上限アップ 4~7万円 × 対象人数
人材開発支援助成金 有期雇用労働者の訓練助成率 最大100%へ引上げ 内容に応じ別途設定
働き方改革推進支援助成金 加算区分に7%が新設 内容に応じ別途設定
業務改善助成金 申請・賃金引上げ期間に期限を設定 内容に応じ別途設定

拡充施策が目立つ一方で、利用者が多い「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は実質減額となっており、注意が必要です。
また、最低賃金の大幅な上昇により、申請件数が増加している「業務改善助成金」については、今後は計画的な取り組みと丁寧な対応が必須となっています。

算定基礎届の提出時期がきました!

毎年7月に、同年4月、5月、6月に支払われた3ヵ月間の賃金総額の平均に基づいて、標準報酬月額を決定する『算定基礎届』を提出します。決定された標準報酬月額をもとに、各人の社会保険料が決まり、その年の9月分(10月支払分)から翌年8月分(9月支払分)までの保険料として適用されます。この手続きを定時決定といい、実際の報酬と標準報酬月額の等級に差が生じないように1年に一度見直しを行います。

現物給与について

 通貨以外のもので、食事(給食・食券など)、住宅(住宅・寮など)、衣服または自社製品などを現物支給する場合も、労働の対償であれば報酬となります。現物支給は、支店等が所在する都道府県に定められた額『厚生労働大臣が定める現物給与の価額』に基づいて通貨に換算します。

 2025年4月より食事の現物給与価格が変更になっておりますので、ご注意ください。

香川県の場合
食事で支払われる報酬等 住宅で支払われる報酬等
1人1ヵ月
当たり食事代
1人1日当たり食事代 1人1ヵ月当たり住宅の利益の額
(畳1畳につき)
1日分 朝食のみ 昼食のみ 夕食のみ
23,700円
(22,800円)
790円
(760円)
200円
(190円)
280円
(270円)
310円
(300円)
1,210円
(変更なし)

()内は昨年の価格

  • その他の報酬(自社製品、通勤定期券など)は時価となります。
  • 食事については、上記額の3分の2以上に相当する額を食費として徴収されている場合には、現物給与に加算する必要はありません。

令和7年度税制改正でどう変わる? 「年収103万円の壁」の見直し

「年収103万の壁」とは?

「年収103万円の壁」とは、会社員など給与所得者の所得税の支払いが発生する境界線を指します。
給与年収103万円以下の場合、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)を合わせた控除額が103万円あるため所得税はかかりませんが、103万円を超えると所得税や社会保険の負担が発生し、手取りが減少することとなります。

この壁は、特にパートやアルバイトとして働く人々にとって重要な課題となっています。

改正の主なポイント

令和7年度の税制改正では、この「103万円の壁」に関して以下の見直しが行われました。

【1】基礎控除(原則部分)の引き上げと基礎控除の特例の創設(所得税のみ)

令和7年分の所得税から、基礎控除(原則部分)が48万円から58万円に引き上げられ、加えて次の2つの「基礎控除の特例」が創設されました。

  • 特例① 低所得者層の税負担への配慮(恒久的措置)
       ⇒ 控除額をさらに37万円上乗せし、所得税の非課税枠を年収160万円にする
  • 特例② 中所得者層を含めた税負担軽減(令和7・8年の措置)
       ⇒ 控除額を3段階で上乗せし、納税者の8割強を対象に税負担軽減をする

◎ 所得税の基礎控除 ※住民税:43万円(改正なし)

合計所得金額 給与収入の目安 ~令和6年 令和7・8年 令和9年~
132万円以下 200万円以下 48万円 95万円(特例①)
336万円以下 475万円以下 88万円
(特例②)
58万円
(原則)
※特例なし
489万円以下 665万円以下 68万円
(特例②)
655万円以下 850万円以下 63万円
(特例②)
2,350万円以下 2,545万円以下 58万円
(原則)
2,400万円以下 2,595万円以下 48万円
2,450万円以下 2,645万円以下 32万円
2,500万円以下 2,695万円以下 16万円
2,500万円超 2,695万円超 0円
【2】給与所得控除の引き上げ(住民税も同様)

令和7年分の所得税から、給与所得控除の最低限が55万円から65万円に引き上げられました。

◎ 給与所得控除 (所得税・住民税共通)

給与収入(A) ~令和6年 令和7年~
162.5万円以下 55万円 65万円
(基礎控除95万円と
合わせて年収160万円
までは所得税なし)
180万円以下 A×40%-10万円
190万円以下 A×30%+8万円
360万円以下 A×30%+8万円
660万円以下 A×20%+44万円
850万円以下 A×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)
【3】特定親族特別控除の導入(住民税も同様)

大学生年代(19歳以上23歳未満)の子がいる親が扶養控除を受けるためには、改正前は子の給与収入が103万円以下でなければ適用できませんでした。今回の改正で、令和7年分より子の給与収入が150万円以下であれば、改正前の扶養控除と同額の特定親族特別控除を受けられるようになりました。

◎ 特定親族特別控除

扶養控除 【新設】特定親族特別控除
年収123万円以下
(所得58万円以下)
年収150万円以下
(所得85万円以下)
年収188万円以下
(所得123万円以下)
63万円(扶養親族) 63万円 3~61万円

■ 具体的な影響

上記の改正により、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、所得税がかからない給与収入額が103万円(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)から160万円(基礎控除95万円+給与所得控除65万円)へ拡大され、いわゆる「103万円の壁」が「160万円の壁」となりました。

その他ご不明な点がございましたら、合同経営にご相談ください。