コラム

考えさせられた「アバター」

 最近、家族といっしょに話題の3D映画「アバター」を見てきました。
 見終わってみて一種の「爽快さ」を感じたのですが、よくよく考えてみると「現代版の西部劇」のような筋書きでした。
 昔ならば「侵略者(武力主義者)の騎兵隊が、無知で野蛮な現地人(インディアン)を武力で制圧」することが普通の筋書き。
 しかし、ベトナム戦争や近年の中東における泥沼の戦争への反省もあり、単純な武力一辺倒の筋書きではない。外見的には、原始的な生活をしていると思われる現地人でも、精神世界は奥深いことを描き出している点は評価できるものです。
 その点では、アメリカにおける侵略戦争への反省の空気が反映されていると思われます。時代の変遷を感じます。
 ある映画評では「『ナウシカ』や『ラピュタ』と通じるものがある」とあったので期待していましたが、「登場人物を殺しすぎ」という点では、似て非なるもので幻滅の主要因と感じました。
 極悪非道な者も「何か愛すべきところがる」と見て、生き延びる道を示しているのが宮崎駿作品の特徴でしょう。「人を多く死なせすぎ」であり、「是非、見て欲しい」と言えるほどの作品内容では無い。
(林哲也)

投稿日(2010/03/24)