コラム

「フェリーのうどん」

高松には昔、宇高国道フェリーの中で食べられる「連絡船うどん」というものがあった。

特別なうどんではない、ただの「うどん」である。フェリーの上で食べるからこそ特別なうどんのカテゴリーに入るのだ。このうどんは、フェリーの航路が廃止になるとともに、なくなってしまったのだが、少し前まで高松駅の構内で食べることが出来たが、そこも高松駅の開発工事に伴い閉店となってしまった。残念である!

 今は、小豆島フェリーの船内売店で食べられるうどんはあるが、「連絡船うどん」とそれほど味は変わらないと思うのだが、なんとなく郷里への哀愁というエッセンスが違う気がする。

 先日、小豆島のフェリーに乗った時に、うどんが飛ぶように売れていたのにびっくりした。観光客も多かったように思うが、それでもうどんを食べている人の多いこと多いこと。午前中のフェリーは店員さん2人で回していたので、わりとスムーズに販売がされていたが、帰りのフェリーでは少し年配の女性が一人で作っていたので、気の毒なほどのてんてこ舞いの状態にあった。売れたうどんの数だけおばさんが疲れていくという光景を目の当たりにした。もう少しスペースがあれば、セルフうどんに出来るのにと考えてしまったのである。

(酒井洋美)

投稿日(2025/10/07)