コラム

青年の志

偶然にも、私は石破茂元総理と生年月日がまったく同じで、今年68歳になった。
そして、合同経営を創業してから、まもなく30年。

つまり、創業は38歳のときだった。とはいえ、その準備を始めたのは、35歳頃からだったと記憶している。

創業の動機は明確だった。
それまで私は、解雇されたり、給与未払いに苦しむなど、極めて劣悪な就労環境の中で働いてきた。そんな理不尽な現実を二度と繰り返さないために、自分自身で「ユートピアのような会社」を創ろうと強く決意した。
人が人らしく、誇りを持って働ける場をつくること。それが、私の“青春の志”だった。

いま、その頃を思い返すと、ふと頭に浮かぶ詩がある。
サミュエル・ウルマンの「青春の詩」だ。

青春とは、人生のある期間を言うのではなく、心の持ち方を言う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、燃える情熱をさす。
青春とは、人生の深い泉の清新さをいう。

若さとは、年齢ではなく、心のあり方なのだと教えてくれる詩。
あの頃の私の胸の内にも、たしかに「たくましい意志」や「燃える情熱」があった。

あれから30年が経とうとしている今も、志の火は消えていない。
むしろ、歳を重ねたからこそ見える風景があり、深まる志がある。
青春とは、決して過ぎ去るものではなく、磨き続けるものだと、今あらためて感じている。

(林哲也)

投稿日(2025/07/09)