コラム

チキン南蛮の日に思うこと

今日7月8日はチキン南蛮の日らしい。スマホのニュースを見て、「へえ、そんな日があるんだ」って、ちょっと驚きましたね。 宮崎で生まれ育った自分にとって、チキン南蛮はもう、本当に当たり前の料理だったんです。

晩ご飯のおかずとか、お弁当のメインとか、いつも食卓に普通にあったというか。特に子どもの頃は、家の近所の線路沿いにあった小さなお弁当屋さんのチキン南蛮が大好きでした。あのチキン南蛮、一切れでご飯一杯いけちゃうくらい、味がしっかりしてて。揚げた鶏肉を甘酢にどっぷり浸して、そこに特製のタルタルソースをたっぷりかけるんです。あのタルタルがもう絶品で、玉ねぎのシャキシャキ感とマヨネーズのコクがたまらなかったのを、今でもはっきり覚えてます。

県外に出てきてから、色んなお店でチキン南蛮を食べる機会がありました。どれも美味しいとは思うんですけど、やっぱりなんか違うんですよね。甘酢の酸味が物足りなかったり、タルタルソースが水っぽかったり。「宮崎風」とか「南蛮風」とか書いてあっても、僕が知ってるチキン南蛮とは、正直、別の料理みたいに感じてしまうんです。

でも、それでいいのかなって思うんです。料理って、それぞれの土地に根ざして、そこで暮らす人たちに愛されるように、自然と形を変えていくものですからね。宮崎のチキン南蛮だって、きっと最初はもっとシンプルなものだったはずだし。

ただ、たまに、本当にたまにですけど、無性にあのお弁当屋さんのチキン南蛮の味が恋しくなることがあります。あの味は、宮崎のあの抜けるような青空とか、見慣れた景色、それに踏切の音とか、全部ひっくるめて自分の記憶の中に深く刻み込まれてるんですよね。

チキン南蛮の日。この日があることで、遠く離れた故郷の味を思い出したりする人がいる。それだけで、十分意味のある日なんじゃないかなって、そんなことを考えました。

安藤

投稿日(2025/07/08)