コラム

遠い日

 あまり話したことがないのだが、20代の頃パラグライダーをしていた。

 一日待ってもアゲインストの風が吹かず、諦めて山を下りたことも多々あった。

 風が来たら斜面を駆け下りつつ、帆に風を孕み両腕で思い切り機体を起こす。

 イチ、ニ、サン!!

 飛び出すのはわりと簡単だが一応の覚悟はして飛び出す。

 右腕を引けば左に、左腕を引けば右に回転する。着地するときは両腕を下ろす。

 調子良く浮かんでいるつもりでも、急に気流がなくなって落ちたことも何度かある。

 運よく葦の茂みに落ちたのだ。

 遠い日。

 もしまた飛ぶことが出来るのなら、スカイダイビングにしよう。

                                                                         (敦子)

投稿日(2015/05/01)