コラム

12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチを再び

 福島第1原発が「完全にコントロールされている」状態ではないことは誰の目にも明らかなことだが、それでも原発にしがみつく人たちも少なくないという不思議の国、日本。国内だけにとどまらず、海外にまで原発を輸出しようとしている。

 放射能で汚染された土地に人が安全に住めるようになるには、気が遠くなるような年月がかかると言われている。当時幼い子ども連れて東京と香川を行ったり来たりしながら先の見えない避難生活をしていたときに初めて耳にしたのが、1992年にブラジル・リオデジャネイロの環境サミットでセヴァン・カリス=スズキ(当時12歳)が行ったスピーチである。20年前のスピーチだが、現在進行中の原発事故、そして環境問題はますます深刻化しており、その言葉が胸に響く。その伝説のスピーチの一部を紹介したい。
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 死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのか、あなたは知らないでしょう。

 どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。

 ここでは、あなたたちは政府とか企業とか団体とかの代表でしょう。あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。でもほんとうは、あなたたちもだれかの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじなんです。そしてあなたたちのだれもが、だれかの子どもなんです。

 親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子どもたちをなぐさめるものです。あるいは、「できるだけのことはしてるから」とか、「この世の終わりじゃあるまいし」とか。しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことができなくなっているようです。おききしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。

 父はいつも私に不言実行、つまり、なにをいうかではなく、なにをするかでその人の値うちが決まる、といいます。しかしあなたたち大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。あなたたちはいつも私たちを愛しているといいます。しかし、いわせてください。もしそのことばがほんとうなら、どうか、ほんとうだということを行動でしめしてください。

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コントロールできない原発を維持し続けるのは、もうやめてください。


子どもの未来を預かる大人として、傍観者でいることは無責任かもしれない。このスピーチを聞いて、そう思った。

(鈴木)

投稿日(2014/06/10)