経営レポート

令和3年3月現在

コロナワクチン予防接種拒否者への対応

 新型コロナウイルスのワクチン予防接種について、医療従事者等への接種が2月中旬から開始されています。予防接種実施については、医療従事者等の後、高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種される見込みです。
 この予防接種を受けたくないという従業員がいた場合、果たして会社として予防接種を義務づけることができるのでしょうか?

予防接種を従業員に義務づけることはできる?

 従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、周囲の従業員等に感染が拡大し、その結果、業務全体に支障が生じる可能性は否定できません。そのため、予防接種の義務づけをすることは必要とも考えられます。
 しかし、副反応が生じる危険性もないとは言い切れず、このような副反応のリスクがある以上、従業員の意思に反して予防接種を受けさせることは適切ではありません。
 予防接種法でも副反応のリスクを踏まえ、強制ではなく「努力義務」としています。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。

予防接種拒否者への懲戒処分

 業務全体への影響を考え、予防接種拒否者を懲戒処分にできるかどうかですが、予防接種が努力義務である以上、懲戒処分にするのは難しいと考えられます。予防接種を受ける法律上の義務が無いのにもかかわらず、受けなかったから罰するというのは権利の濫用となる可能性があるからです。
 また、仮に懲戒処分にするとしても接種を業務命令として指示するためには、就業規則上で予防接種に関する義務づけを定めることが必要です。その上で、どのような場合にどのような種類の懲戒処分となるかを明記し、しっかり従業員に周知しておく必要があります。
 予防接種を義務づけ、無理に接種させて重大な体調異変等が起きた場合は、義務を課した経営者に責任が問われることにもなりますので、そのあたりも十分注意が必要です。

情理を尽くし、納得のもとに

 接種を、業務命令で強制し懲戒処分で脅かすことは、まったくの逆効果です。
 接種については、「病気を予防する利益」と「副反応のリスク」を比較し、利益がリスクを「大きく上回る」場合に接種が推奨されます。
 十分に説明せず、「国が奨めるから」ではいけません。1人1人がその利益とリスクを正しく評価して「接種するかどうかを自分で判断する」ことが必要です。
 情理を尽くし、納得のもとで接種することが大切です。

コロナの影響は、多種多様な労使間の問題を発生させています。
お困りの場合は、早めにご相談ください。

お問い合わせは、社会保険労務士法人合同経営までご連絡ください。
お問い合わせはこちらから
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