経営レポート

平成30年1月現在

消費税の納税額、原則課税と簡易課税、節税できるのはどちら

 「今期は赤字なのになぜ、消費税を納税しなければいけないの」と思ったことはありませんか?
 消費税の性格は預り金です。利益が出ているかどうかではなく、預かった消費税が支払った消費税より多い場合には、納税額が発生します。今回は消費税の納税で原則課税と簡易課税のどちらが節税に有利か考えてみましょう。

原則課税と簡易課税

消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税の2種類の方法があります。小売業でそれぞれの計算方法を見てみましょう。

期中に10,800円(税込)の商品を仕入れ、それを21,600円(税込)で売った場合

原則
課税
預り消費税-支払い消費税=納税額
1,600円-800円=800円
簡易
課税
預り消費税(A)-((A)×みなし仕入れ率)=納税額
1,600円-1,280円=320円
*小売業の場合(80%)
事業区分 みなし仕入れ率 該当する事業
第1種事業 90% 卸売業
第2種事業 80% 小売業
第3種事業 70% 製造業等
第4種事業 60% 飲食店業・その他の事業
第5種事業 50% 運輸・通信、保険業、サービス業
第6種事業 40% 不動産業

簡易課税制度の適用要件

 簡易課税制度の適用には届出書の提出が必要ですが一度選択をした場合には2年間は継続して適用しなければなりません。
 また、基準期間(前々事業年度)の課税売上げ高が5,000万円を超える場合には、簡易課税制度の適用を受けることができません。(原則課税となります)

具体例で有利判定

 例えば、サービス業を営んでいる場合、みなし仕入れ率は第5種事業(サービス業等)の50%が適用されます。サービス業で売上に対する給与支払の割合が高い場合は一般的に税負担が軽くなると考えられます。
 課税売上4,000万円(税抜)、給与が2,000万円、課税仕入が1,000万円(税抜)の会社を想定すると、原則課税の場合、預かり消費税が4,000万円×8%=320万円、支払消費税が1,000万円×8%=80万円となり、消費税の納税額は320万円-80万円=240万円です。
 一方、簡易課税の場合、預かり消費税320万円にみなし仕入れ率を乗じて仕入控除税額とするので、仕入控除税額は320万円×50%=160万円となり、320万円(預かり消費税)-160万円(仕入控除税額)=160万円が納税額となります。よって簡易課税を適用したほうが、240万円-160万円=80万円納税額が少なくなります。

簡易課税制度のメリット
簡単な計算方法で消費税額を計算することができるため、事務負担が軽くなる。
売上金額や仕入金額によっては原則課税よりも消費税納税額が少なくなる。
簡易課税制度のデメリット
売上金額や仕入金額によっては簡易課税のほうが、消費税納税額が多くなってしまうことがある。
2年間簡易課税を継続しなければいけない。
みなし仕入れ率の異なる複数の事業を行っている場合は、原則課税よりも計算が複雑になることがある。
消費税の還付を受けられないため、設備投資をした場合など損をしてしまうことがある。

 簡易課税を選択するかどうかの意思決定は、事業者の課税売上に対する課税仕入の割合を把握すること、大きな設備投資計画など課税仕入が増える事象がないかどうか考慮することが必要です。税理士など税務の専門家と一緒にシュミレーションしてみるなどして、どちらが有利なのかを見極めて選択しましょう。

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