介護事業所の経営と労務管理

キャリアパスに関する二つのシートをプレゼント(10.04.19)

 このブログの更新が出来ていなかったことについて、私に対するケジメも含めて、皆さんに二つのプレゼントをします。

職能資格等級表.doc

 厚労省の示したガイドラインをふまえて横軸を展開し、縦に6階層の展開をしています。状況に応じて追加削除をしてください。
 職務名や各要件は、実情に応じて変更してください。
 要件等(横軸)の項目については、厚労省が例示している項目を最大限掲載しています
が、全てを網羅する必要は無いと思われます。

「職員の資質向上をめざす計画の推進」周知文案.doc

 資質向上型で申請する場合の「職員への周知」要件に対応するものとして例示していま
す。
 文章までいっしょにする必要はありませんが、実情に応じて加筆訂正をするたたき台と
して例示していただくと話が早いものです。
 「周知した」ことを「実績として示せ」と言われたときに、この文章を「掲示した」と
して資料提示することで対処できるようにするためです。
 掲示しした写真も撮っておくと万全でしょう。

【お願い】

 良いものができましたら、

 hayashi@godo-k.co.jp 林宛にお願いします。


「介護事業所におけるキャリアパス対応セミナー」(日本法令主催)(10.04.18)

●キャリアパスについてのセミナー講師をしました

 私は、先週(2010年4月17日)、開催された日本法令のセミナーにおいて、3月30日付けで示された厚生労働省のキャリアパス対応の要件について次のように表現しました。「従来、想定されていた難易度を比喩的に表現すると『走り高跳び1メートルの高さ』から『走り高跳び50センチ』になった。」

 今回開かれたセミナーは、おそらく体系的で最新の介護事業所向けのキャリアパス対応セミナーとしては日本で最初のセミナーだったと思われる。

●キャリアパスで介護事業所の自己変革

 この説明を聞いた方の反応は二つ。

 一つは、「ビジネスチャンスとしては、役割が薄くなった」との受け止め方。

 もう一つは、「実際の現場を考えると、徐々にハードルをあげていくことで実態に応じた対応が出来る」との受け止め方。

 どちらが正解か、それは、この介護事業所に、社会保険労務士としてどのようにアプローチしていくのかという主体的な問題が大きいと思われます。

 「単なる書類提出」だけの実務屋、代書屋さんとなると、この申請はあまりボリュームの無いものです。しかし、このハードルの低さをチャンスとして、事業主の「志」を確認し、育て、将来的には志の高い理念経営や事業展開をめざしていくというアプローチをめざす場合には、見える世界は異なります。

 今回の参加された100名を超える社会保険労務士の専門家の方々の反応は、明らかに二つ目のスタンスの方が多かったと実感しました。

 久しぶりのブログ更新となりましたが、あらためて引き続き情報発信を強めていきます。

「介護職員処遇改善交付金」の話題(09.11.18)

 昨日、介護施設の管理者の方と話をしていたところ「2年半後の介護職員処遇改善交付金の将来はどうなるの」との話題がでました。

 話題の柱は二つ。

 一つは、当初2年半だけの制度とされていて、「不安定」と思っていたが、「長期に継続」との方向性が報道されている。しかし、それだと介護職と他の職種との差違が固定化することになり、それも問題という意見。

 もう一つは、民主党の政策は、「介護報酬の改定であったはず」なのに、「介護職員処遇改善交付金」として対応されるのであれば、上記と同じく、介護職と他の職種との差違の固定化になってしまうので、問題という意見でした。

 民主党のマニュフェストによれば「介護報酬の改定」ということですので、来年度に向けて何らかの抜本的な改定方針が出されるかもしれません。

 ここは今後の動向をしっかりと注目することが必要です。

10万人の雇用創出を目指す「緊急雇用対策」(09.11.01)

■介護資格の受講費や取得までの給与を期限付きで国費負担

 国内の厳しい雇用情勢に対応するため、政府は10月23日、首相官邸で緊急雇用対策本部(本部長 鳩山由紀夫首相)の会合を開き、「緊急雇用対策」を正式に決定しました。
 対策の第は二つです。第1の柱が、困窮者や新卒者などへの「緊急的な支援措置」と、対策の第2の柱は、将来的な成長が見込まれる介護など3つの重点分野における「緊急雇用創造プログラム」の実施という2本柱の対策です。
 特に介護では、働きながらヘルパー2級や介護福祉士の資格取得を目指す「介護雇用プログラム」の推進が注目されるところです。
■対策の内容

  第1は、失業者や離職者が働きながら資格を取れるように、「介護雇用プログラム」を設ける。
 これは、介護福祉士やヘルパー2級などの資格取得を目指す失業者・離職者を、介護事業所が1年から2年の有期雇用契約で受け入れた際に、資格取得の受講料と雇用中の賃金を国費で負担するものです。
 第2は、介護人材の確保策として、全国のハローワークで介護分野の求人開拓を重点的に実施することです。
 第3は、介護サービスの基盤を拡充し、雇用の受け皿を増やすことです。

■厚労省の緊急雇用対策の資料です。(クリックするとダウンロードできます)⇒  kinkyu.pdf

県緊急雇用創出基金 現任介護職員等研修支援事業 始まる(09.09.07)

 県が配布する資料を見ておりますと、やはり始まりました。

 「県緊急雇用創出基金 現任介護職員等研修支援事業」という名称です。

 私どもの県では派遣会社に委託して代替職員を派遣する制度で、平成21年10月1日から22年3月21日までとして設定されています。

 知人の派遣会社さんに確認したところ、この実施主体としての派遣会社への入札の呼びかけは、都道府県に過去において入札の実績があるところしか案内されなかったようです。

■対象となる研修は?

 介護職員等の資質向上を図ることを目的とする次の研修で、県が適当と認める研修であり

① 介護職員基礎研修、訪問介護員研修、ユニットケアリーダー研修

② 認知症介護実践研修

③ 介護支援専門員に係る研修

④ 介護福祉士国家試験受験対策講座

⑤ 県内の各市町が実施する介護従事者向けの研修

⑥ 県老施協、県老健協、福祉人材センター等が実施する介護従事者向けの研修

⑦ その他介護職員等の資質向上に有益であると県が判断する研修

以上のような表現となっています。

少し違和感があるのが、「③ 介護支援専門員に係る研修」ではないでしょうか?

これらの一連の制度では、介護支援専門員は対象外との思い込みがありましたが、意外にも対象に入っているのです。考えてみれば、この研修支援事業は「緊急雇用創出基金」での事業ですし、名称も「介護職員等」と「等」が入っておりますので、「介護職員」だけの制度ではないということでしょう。

しかし、実際には「一定期間において研修に人を長期的に出すか?」「業務の代替を派遣として入れるにも若干の手間がかかるのではないか?」などを考えると、どれだけの利用ニーズがあるか疑問な点です。

無駄な資料整理?(09.08.19)

 地元香川県でも最近、「介護職員処遇改善交付金」の申請の受付が開始されました。
 それに先だって、必要な準備書類の確認をしたところ、相当膨大なものであることが分かりました。一般の事業所では、事業主負担の法定福利費の計算を日常的にはおこなっていません。申請にあたって、昨年の10月から今年の3月分までの一人一人の法定福利費を積算することが求められた瞬間もあり、大騒ぎになりました。
 社会保険料を取ってみれば、この期間に40歳を超えると介護保険料が発生しますし、社会保険の月額変更がある場合はそれも考慮しなければなりません。
 おそらく初期の説明を聞いた事業所で準備をしたところは膨大な手間をかけられたと推察します。
 その後、その提出の際の添付資料の必要性や妥当性を質問し続けたところ、最終的には「不要」ということになりました。
 来年春の実績報告段階では、詳細な資料添付が必要となることは仕方有りませんが、現時点での不要な資料提出は無駄なことが多かったようです。

知って活用すれば力に(09.08.13)

  先日、厚労省の老健局の方の介護分野における緊急経済対策の説明を聞く機会がありました。
 図表のように2年半の間に30万人の介護職員の増員をはかるための諸施策が総合的に打ち出されていました。
 特に関心があるのが「介護職員処遇改善交付金」ですが、それ以外にも拠点整備等のハード面での補助制度が強化されていることに驚きました。
 地域の介護事業を総合的に検討されている事業者にとっては、使える制度がありそうですので十分に研究が必要です。
 以後、このページでも続報を続けていく予定です。
介護危機対策.jpg

介護職員処遇改善交付金の交付率など(合同経営の「経営レポート」がダウンロードできます)(09.07.03)

 介護事業の経営者の皆さんや管理者の皆さんは、常々「何とかして職員の給与等の処遇を改善し、職員募集や雇用継続の条件整備が出来れば」と思われてきたと思います。

 話題になっていた介護職員の処遇改善を目的とした「介護職員処遇改善交付金」(以下、「交付金」)の支給率などの全容が徐々に明らかになりました。

 迂闊に「お金をもらうための書類を準備したら良い」という程度では戦略的な対応にはなりません。「処遇改善」のための慎重な施策の具体化がもとめられます。

 「キャリアパス制度」の実施などの改善施策を具体化するためには、行政書士・社会保険労務士・税理士等の専門家と戦略的な対応を検討しながら準備することが不可欠です。

■合同経営が発行した経営レポートがダウンロードできます。

  経営レポート(介護職員処遇改善交付金).doc  

(以下、「経営レポート」の一部を紹介します)

 

【サービスごとの交付率】(※旧交付率案は、427日付事務連絡時に提示された交付率です)

サービス名

※旧交付率案(%)

最終的交付率(%)

・(介護予防)小規模多機能型居宅介護

2.3

 

4.2

・(介護予防)訪問介護

・夜間対応型訪問介護

4.0

4.0

 

 

 

 

4.0

・(介護予防)認知症対応型共同生活介護

2.0

 

3.9

・(介護予防)特定施設入居者生活介護

・地域密着型特定施設入居者生活介護

2.3

1.5

 

3.0

・(介護予防)認知症対応型通所介護

1.8

 

2.9

・介護福祉施設サービス

・地域密着型介護老人福祉施設

・(介護予防)短期入所生活介護

2.3

1.5

2.9

 

 

 

2.5

・(介護予防)通所介護

2.6

 

1.9

・(介護予防)訪問入浴介護

2.6

 

1.8

・(介護予防)通所リハビリテーション

1.5

 

1.7

・介護保健施設サービス

・(介護予防)短期入所療養介護(老健)

1.8

2.0

 

1.5

・介護療養施設サービス

・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)

1.5

1.5

 

1.1

【助成対象外】

(介護予防)訪問看護   ・(介護予防)訪問リハビリテーション

・居宅介護支援      ・介護予防支援

(介護予防)福祉用具貸与 ・(介護予防)居宅療養管理指導

 

 

「介護職員処遇改善交付金」(仮称)の概要が発表される(09.06.03)

 上記の制度が、いよいよ動きだすことになりました。

 介護職員の処遇改善のための交付金の骨格部分が見えることになりました。

kaigosyogu.jpg この交付金は、介護職員の賃金の確実な引き上げをめざした制度で、2009年度補正予算に盛り込まれたものです。処遇改善に取り組む事業者に対する助成措置として実施されます。

1.実施主体は都道府県であること。基金を創設して国保連を通じて交付金が事業主に支払われれます。

2.支給金額は、事業所に支給される介護報酬総額に対して、サービス毎の人件費比率を乗じて計算されます。

(交付率等の詳細は、 介護職員処遇改善交付金(仮称).pdfを参照)

3.今後の予定は、7月に事業所への説明会を実施し、8月に交付金申請の受付を開始、10月のサービス分から交付金の算定対象となり、11月の請求分とあわせて12月に交付金が実際に事業者の口座に振り込まれることになる見込みです。

4.交付金を受けるためには、事業者は処遇改善計画を作成し都道府県に提出することが求められます。

 事業主に求められるのは、①改善計画の作成と、②計画書の介護職員への周知です。

 この「計画」がポイントのようです。

 「計画」では、交付金の月当たりの見込額や職員一人当たり野改善見込額(月額)や、基本給の増額、手当の新設、賞与の新設などの個別的方策を記載することが求められるようです。同時に、前年度の支払い実績を比較する情報の報告が求められる見通しです。

 これにあわせて、人事制度の整備、昇給、昇格用件の明確化などの処遇全般、人材育成環境の整備、出産・子育て支援などが求められます。

 なお、翌年度からはキャリアパスに関する用件が満たされなければ減額措置があるようです。

シリーズ10年目の介護保険(1)介護報酬改定の波紋(09.04.21)

 本日、NHKの生活ほっとモーニングで「シリーズ10年目の介護保険(1)介護報酬改定の波紋」をテーマにした放送がありました。

 洋画家の城戸真亜子氏、立教大学教授の服部万里子氏をゲストにしていました。

 番組では、認定調査における不安と不満を取り上げるとともに、介護報酬の改定によって訪問介護事業所が特定事業所加算をおこなうことで限度額ギリギリで介護を受けていた利用者の負担増となる問題を取り上げていました。

 特に、認知症利用者等の限度額ギリギリまで利用している方が、今回の特定事業所加算を取ると、その分全額自己負担となる場合は、「生活そのものを事業所加算分で破綻させかねない」ということで加算を選択しないことと苦渋の決断をした事業所の事例を紹介していました。

 服部教授は、①利用限度額の上限の見直し、②研修費用や介護福祉士の賃金については、介護報酬ではなくて直接に事業所に支給する方法を検討すべきとの主張をしていました。

 仕事の手を止めて、聞いておりましたが、やはり認定調査と介護報酬の問題は、社会的に注目を浴びている重要な事項であることが浮き彫りになっています。

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