介護事業所の経営と労務管理

「アドボカシー・マーケティング」=正直な会社をつくること(10.08.18)

 なにやら変な言葉が目について本を購入してしまいました。

 「正直に営業する」という趣旨のようです。

 経営理念を正直に表明し、正直に営業をする姿勢の論拠として使えそうな気がしました。

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いまだに「虐待」と「身体拘束」が?(09.05.08)

 地元の介護事業者の会合で「虐待」と「身体拘束」が話題となりました。
 介護事業に従事するためにヘルパー研修を受けると、必ず施設実習があります。

 

 この施設実習を受講した者から、必ず「幻滅」の声が聞こえるという話題でした。
 せっかく「人の役に立ちたい」と思ってヘルパーになろうとしたのだが、施設実習では、陰湿さのある「虐待」と「身体拘束」を目の当たりに見てしまい、心が萎えてしまうということでした。
 会合では「いまだに『虐待』と『身体拘束』をしている施設が残っているのか」と驚きの声が起こりましたが、これが「少数派」とは思えない状況にあることが問題として話題に。
 ある参加者は、大規模施設で目の当たりにしたこととして「身体拘束でもしないと手が回らないし、虐待と取られても、おむつ交換のために一斉におむつを脱がせてまわったり、入浴の準備のために裸でたたせなければ仕事が回らない」という実態だったそうです。
 また、食事の介助では、一人に食事介助をしていると、「時間と対応する人数を考えるとそれでは間に合わない」と職員に叱責され「順番に並べて次々と口の中に放り込む」ように実習指導があったようです。

 

 利用者本人が訴える事無く、家族も知らないところで行われている場合は、闇の中ということで紛争とはならないことになります。家族も「お世話になっているから」ということで知らないふりということが多いようです。
 将来の介護を考えると改善すべき問題の一つだと思います。

 

 議論では、現場の実態を「経営幹部が知っていたかどうか」が話題となりましたが、目の前の入居者への対応のためには、仕方がないという悪循環が繰り返されていることが問題ではないかと話題になりました。

 

 悪循環を絶つためにも「何のために経営をしているのか」「何のために働いているのか」という根本の基本理念に光をあてていくことから改善が始まると思います。
 この点では、大規模な施設であろうがなかろうが、十分に注意すべきことでしょう。

  

 なお「虐待」については、利用者の家族(それも直系尊属)による「虐待」と介護労働者による「虐待」とは精神構造が少し異なる点も、今後の研究課題ではないかとの議論もありました。

 この点は、また、日を改めて検討していきたいと思います。

地元の新聞に紹介されました(09.05.05)

 香川県の地元紙の四国新聞(地域総合 19p)に丁寧に紹介をしてもらえました。

 

090505四国.jpg 以下、記事の概要です。

 

 県介護サービス事業者協会事務局長で、高松市で独立系の居宅介護支援事業所を運営する林哲也氏(52)が、在宅事業所の経営のポイントを解説した「介護事業所の経営と労務管理」(日本法令)を著した。五月上旬に全国の書店に並ぶ。県内などで実際にあった事例に基づき、具体的な改善策を提示している。
 介護現場では、過重労働や低賃金などが表面化する中、担い手不足が懸念されている。社会保険労務士でもある林氏は、働きがいのある職場づくりをアドバイスするとともに、どのような制度改正があっても事業を維持できる自立型経営への改革も訴えている。
 また、介護事業では担当者間の情報の共有が欠かせないとした上で、事実の共有(知っている)、意味の共有(分かっている)、考え方の共有(心がそろっている)の三つを推進することが重要としている。
 林氏は「介護は困っている人を助けるやりがいのある仕事。これから参入しようと考えている人にも読んでほしい」と話している。

経営指針を考える 「独立系ケアマネ」の大切さ(09.04.26)

 東京で中小企業診断士をしている奥長氏が、31名の広告・宣伝の会社の経営理念や方針を紹介していました。

 この会社は、代理店の下請けや大手印刷所の下請けは避けて、自ら「直」で顧客から仕事を受注する方針を貫いてきたそうです。

 現在、中期計画を検討するにあたっては、業態変革に挑戦することとし、基本理念から再検討をする過程で方向性を見いだそうとしているそうです。

 

 同社は、宣伝・広告物を作成してきたのですが、顧客がその手段を使って求めている最終目的は何かを探り、それを提供していこうと考えて、「ものづくり」から「効果づくり」をする会社へシフトするために、コミュニケーション企業になろうとしているそうです。

 

 少し余談ですが、昨日(平成21年4月25日)のNHK番組の「追跡!A to Z 『無届け老人ホームの闇』」では、低所得で介護が必要な高齢者たちを集め、生活保護費や介護保険を狙って利益をあげている「無届け老人ホーム」の実態を追跡していました。

 胸が痛んだのは、ある行政職員が「こうした闇の動きを知っていて許しているのがケアマネージャーだ」と断言し、業者から毎月52,500円の報酬をもらってケアプランを作成していた証拠の領収書を提示したことです。

 独立系の対極の位置にある「従属系」のケアマネージャーの弊害の極みを見た思いがしました。

 

 介護の世界も、単に「サービスを提供する」とか「要は金」と目先に負われるのではなく、提供するサービスを通じて利用者や家族に、どのような手がさしのべられ、役に立っているのかを第1に考えるためにも経営指針はとても大切なことだと思います。

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