知って活用すれば力に(09.08.13)
図表のように2年半の間に30万人の介護職員の増員をはかるための諸施策が総合的に打ち出されていました。
特に関心があるのが「介護職員処遇改善交付金」ですが、それ以外にも拠点整備等のハード面での補助制度が強化されていることに驚きました。
地域の介護事業を総合的に検討されている事業者にとっては、使える制度がありそうですので十分に研究が必要です。
以後、このページでも続報を続けていく予定です。
認知症と独居高齢者の加算制度を適用する場合の「条件」(09.06.09)
少し遅くなりましたが、上記の「条件」について高松市役所の介護保険課に出向き、担当者に「条件」を明示したことをお知らせします。
担当者は「御社が自主的に考えている条件ですので、これを実施してください」と言うばかりで、「この条件で、良いか否か、ご判断の上文書にてご回答いただけるようお願い申し上げます。」という要望については、言を左右にして回答を約束しませんでした。
その後、上司が出てきて「条件」を受け取り「県とも相談して回答」という言葉を得ました。その後、行政側からの正規の回答が得られていませんが、一定の期日を経て確認を実施する予定です。
当社が高松市に提示した加算の「条件」を再掲示しておきます。
香川県ケアマネジメントセンター株式会社では、認知症、独居高齢者加算は、下記のいずれかの条件を満たすものを算定することとする。 1.自宅への訪問回数が月2回以上ある場合 2.本人もしくは家族、利用している事業所との連絡調整のため、頻繁に電話での対応が必要である、もしくは長時間になる場合 3.認知症、独居であるため必要なサービスが変更され、サービス担当者会議を開催した場合 なお、これらにかかる内容についてはすべて、居宅支援経過、及びサービス担当者会議等に記載するものとする。 |
「介護職員処遇改善交付金」(仮称)の概要が発表される(09.06.03)
上記の制度が、いよいよ動きだすことになりました。
介護職員の処遇改善のための交付金の骨格部分が見えることになりました。
この交付金は、介護職員の賃金の確実な引き上げをめざした制度で、2009年度補正予算に盛り込まれたものです。処遇改善に取り組む事業者に対する助成措置として実施されます。
1.実施主体は都道府県であること。基金を創設して国保連を通じて交付金が事業主に支払われれます。
2.支給金額は、事業所に支給される介護報酬総額に対して、サービス毎の人件費比率を乗じて計算されます。
(交付率等の詳細は、 介護職員処遇改善交付金(仮称).pdfを参照)
3.今後の予定は、7月に事業所への説明会を実施し、8月に交付金申請の受付を開始、10月のサービス分から交付金の算定対象となり、11月の請求分とあわせて12月に交付金が実際に事業者の口座に振り込まれることになる見込みです。
4.交付金を受けるためには、事業者は処遇改善計画を作成し都道府県に提出することが求められます。
事業主に求められるのは、①改善計画の作成と、②計画書の介護職員への周知です。
この「計画」がポイントのようです。
「計画」では、交付金の月当たりの見込額や職員一人当たり野改善見込額(月額)や、基本給の増額、手当の新設、賞与の新設などの個別的方策を記載することが求められるようです。同時に、前年度の支払い実績を比較する情報の報告が求められる見通しです。
これにあわせて、人事制度の整備、昇給、昇格用件の明確化などの処遇全般、人材育成環境の整備、出産・子育て支援などが求められます。
なお、翌年度からはキャリアパスに関する用件が満たされなければ減額措置があるようです。
地元の新聞に紹介されました(09.05.05)
香川県の地元紙の四国新聞(地域総合 19p)に丁寧に紹介をしてもらえました。
以下、記事の概要です。
県介護サービス事業者協会事務局長で、高松市で独立系の居宅介護支援事業所を運営する林哲也氏(52)が、在宅事業所の経営のポイントを解説した「介護事業所の経営と労務管理」(日本法令)を著した。五月上旬に全国の書店に並ぶ。県内などで実際にあった事例に基づき、具体的な改善策を提示している。
介護現場では、過重労働や低賃金などが表面化する中、担い手不足が懸念されている。社会保険労務士でもある林氏は、働きがいのある職場づくりをアドバイスするとともに、どのような制度改正があっても事業を維持できる自立型経営への改革も訴えている。
また、介護事業では担当者間の情報の共有が欠かせないとした上で、事実の共有(知っている)、意味の共有(分かっている)、考え方の共有(心がそろっている)の三つを推進することが重要としている。
林氏は「介護は困っている人を助けるやりがいのある仕事。これから参入しようと考えている人にも読んでほしい」と話している。
経営指針を考える 「独立系ケアマネ」の大切さ(09.04.26)
東京で中小企業診断士をしている奥長氏が、31名の広告・宣伝の会社の経営理念や方針を紹介していました。
この会社は、代理店の下請けや大手印刷所の下請けは避けて、自ら「直」で顧客から仕事を受注する方針を貫いてきたそうです。
現在、中期計画を検討するにあたっては、業態変革に挑戦することとし、基本理念から再検討をする過程で方向性を見いだそうとしているそうです。
同社は、宣伝・広告物を作成してきたのですが、顧客がその手段を使って求めている最終目的は何かを探り、それを提供していこうと考えて、「ものづくり」から「効果づくり」をする会社へシフトするために、コミュニケーション企業になろうとしているそうです。
少し余談ですが、昨日(平成21年4月25日)のNHK番組の「追跡!A to Z 『無届け老人ホームの闇』」では、低所得で介護が必要な高齢者たちを集め、生活保護費や介護保険を狙って利益をあげている「無届け老人ホーム」の実態を追跡していました。
胸が痛んだのは、ある行政職員が「こうした闇の動きを知っていて許しているのがケアマネージャーだ」と断言し、業者から毎月52,500円の報酬をもらってケアプランを作成していた証拠の領収書を提示したことです。
独立系の対極の位置にある「従属系」のケアマネージャーの弊害の極みを見た思いがしました。
介護の世界も、単に「サービスを提供する」とか「要は金」と目先に負われるのではなく、提供するサービスを通じて利用者や家族に、どのような手がさしのべられ、役に立っているのかを第1に考えるためにも経営指針はとても大切なことだと思います。
介護保険の社会的役割 家族が「受容すること」への関わり(09.04.25)
先日(平成21年4月18日)、地元で介護をしている妻が夫を殺そうとし、その後、自らの命を絶った事件がありましたが、本当に類似している事件として、元タレントの清水由貴子さん(49)の「自殺」があり、世論が改めて「家族の介護」の厳しさについて注目されています。
介護保険の施行の基本理念が「家族介護から社会的介護へ」と言われ、「クオリティ・オブ・ライフ」(QOL)の追求をすることが宣言されていました。
多くの解決すべきことが介護保険制度にはあります。しかし、介護保険制度が施行されて10年を経て「介護」は、明らかにイメージが変わりました。
35年前に、私の祖母が介護を必要とする状態となり、当然のこととして「嫁」である母親が、雑貨店の店主として経営をしながら3年ほど家族介護の担い手となりました。注文を受けたらバイクで酒を配達したり、店番をしたりしながら、介助し食事の世話をしていました。
今から思い出すと本当に厳しい様相でした。だんだんと家の中が暗くなり「帰りたくない」と思うようになりました。
当時、私は高校生でしたが、母親が父親に「町役場に相談したら『ヘルパー』さんという人が来てくれるらしいが、どうだろう」と話をしていたのを思い出しました。
父親は一言。「そんな、ふが悪い(格好の悪い)ことは出来ない」と却下。
その後、母は近所の気安い知り合いの主婦の方の手を借りながら何とか3年間の介護を続けました。5月の連休の暖かい日に祖母は母親に看取られながら自宅で息を引き取りました。
介護の2年目に入った頃は、祖母は今で言う認知症状態でしたので、私は恐ろしくて近づけず「早くいなくなれば・・・」と思っていたのを思い出しました。
今日では、とりあえずヘルパーさんにお願いすることは「恥ずかしいこと」という風潮は無くなりました。
しかし、介護を必要とする家族が家の中に生まれた時には、その事実を受け入れる「受容」をすることは、肉親にはとても悲しく、厳しく、暗い穴に落ちるような気がするのは痛く分かります。
その「受容」していくプロセスが介護サービス事業者やケアマネに求められる最初のプロセスなのでしょうか。地元の事件と清水さんの事件は、そう教えているように思います。
清水由貴子さんの若い頃の報道が次々と流されていますが、本当に身につまされます。
あらためてご冥福をお祈りします。
介護事業創業(予定)者と面談(09.04.15)
本日、朝、とある商工会さんからの紹介で「これから介護事業に参入したい」という二人の婦人と面談しました。
年齢は、現役を引退した方ですが「介護への熱い思い」を持っているので、とても感心しました。
「訪問介護とディサービスのどちらを選択したらいいだろうか」考えたのだが「結論が出ないまま来ました」という話からきりだされました。
私の持論ですが「ディサービス」は、職員集団のコミュニケーションがとりやすい環境で運営できるのですが、訪問介護はセンターを出てしまうとヘルパーの資質に依拠してサービスが提供されることになり、利用者の都合で振り回されやすいので、経営側の指導力が問われます。
「ご自分がやりたいと思うことが最も表現しやすいのがディサービスです」と説明しながら、ディサービスへの参入を助言させてもらいました。
年齢的にも「高齢者共同就業助成金」の利用の可能性があるので、この制度の説明もさせてもらいました。
早速、ディサービスセンターとして活用を考えている民家の改修の可能性を検討することとなりました。
介護事業の創業に向けた第一歩が始まりました。
「介護事業所の経営と労務管理」が出版日決定(09.04.10)
さて、いよいよ5月1日に日本法令より「実例でみる介護事業所の経営と労務管理」という表題で出版されることとなりました。
思い返せば、日本法令より、出版の打診をいただいたのが、昨年6月でしたので、まる1年を要したこととなります。
多くの専門書が、「専門家が何でも知っている」という「知ってる目線」「上から目線」で見下ろすような内容で書いているものを見かけますが、この書籍は、実際に現場に関わる者として、ともに問題を考え解決の展望を考えるスタンスで展開されました。
また、この書籍は、表題のとおり介護事業所の経営者あるいはこれから経営に関わる予定の方、そして、社会保険労務士や税理士、行政書士など介護事業に外部から関わりを持っているかたに是非ともご一読いただくことを想定して依頼がありました。
しかし、書き上げてみて思うのですが、こうした介護事業に直接関係が無い方でも、共通してお読みいただけるものと思います。それは、介護事業とは典型的な労働集約産業ですので、「人」に関わるマネジメントは、多くの企業でも共通する事項であるからです。
出版の準備に際しましては、各方面から「心ある介護事業所」の紹介をいただき、多くの介護事業所を訪ねさせていただきました。そこでは、実際の介護の現場で面談し創業の思いや現場での苦労話、将来の夢などを拝聴させていただきました。
この書籍には書ききれない感動的なことも多々ありました。現場から多くのことを学ぶことが出来たと思っています。同時に、介護現場で働く人々の力になりうる内容となっているかどうかについて、皆様のご指摘や助言を頂きたく切望する日々であります。
今回の出版に際して、暖かいお力添えにあらためまして御礼を申し上げます。今後とも、よろしくお願いいたします。