介護事業所の経営と労務管理

介護保険法改正案が可決(11.06.15)

●介護保険改正可決
 6月15日に、24時間対応の訪問介護・看護サービスの創設を目玉とする改正介護保険法が、参院本会議で与野党の賛成多数で可決・成立しました。
 今回の改正の大きな柱は、高齢者が独り暮らしや重度の要介護状態になっても、住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするのが狙いとされています。
●24時間対応の新サービス
 ポイントは、24時間対応の新サービスは、ヘルパーと看護師が連携して、定期的に利用者を訪問して短時間介護などを行うほか、要請があれば随時駆けつけます。
●財政安定化基金の取り崩し
 もう一つのポイントは、現在、保険料の全国平均(65歳以上)が月4160円ですが、この保険料の上昇を抑制するため、各都道府県の財政安定化基金を取り崩して、保険料を軽減できるようにしことです。
●介護予防のための生活支援サービス
 その他、介護の必要度が低い軽度者向けに、市町村の判断で介護予防のためのヘルパー派遣や、配食、見守りなどの生活支援サービスを総合的に提供できる制度を創設できることも盛り込まれています。
●今後の焦点=保険料負担と介護職員処遇改善の経費の確保の見通し
 介護事業者にとって、今後の大きな関心は、12年度の介護報酬改定の行方も含め、介護職員の待遇改善経費をどう確保されるかです。
 保険料の水準は、「処遇改善交付金」が般財源で賄われるか否かに左右されます。低賃金が人手不足を招いているとされる介護職員の賃金を月額1万5000円引き上げるための基金ですが、来年3月には予算を使い果たす見通しです。
 厚生労働省の案のひとつとして、交付金の終了時にちょうど3年に1度の改定期を迎えるので、介護報酬を2%アップして、財源を捻出ことも想定されていたようです。
 しかし、介護報酬をアップして交付金分に対応しようとすれば、保険料に直結することになり、保険料が5000円を超えることになるのが確実と言われています。一方、交付金など一般財源を充てると5000円未満にできるので、民主党や公明党などからは交付金継続を求める声が上がっているようです。
 しかし、介護報酬なら保険料もアップし所要税財源は500億円で対応できのですが、交付金なら1900億円かかる見通しで、東日本大震災の影響で財政状況が厳しいと言えます。




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