介護事業所の経営と労務管理

「家族構成の変化」(09.04.22)

 今朝のNHKの「生活ほっとモーニング」も、昨日に続きシリーズとして介護保険を取り上げていました。
 テーマは「シリーズ10年目の介護保険(2) 想定外の家族たち」で、介護保険制度が制度設計をする段階では予測していなかった家族構成になっていることを特集していました。
 ゲストには、昨日と同じ洋画家の城戸真亜子氏と、新たに淑徳大学准教授で元ケアマネージャーの結城 康博氏が参加していました。
 今回の注目点は、介護保険制度が予測しきれていなかった家族構成として、①未婚者の増加によるシングルで父母の介護をすること、②お互いが介護を必要とする者同士という意味で、老老介護や認知症どうしの認認介護の事態も広がっていることを指摘していました。
 しかし、私は若干、違和感を覚えました。
 実は、介護保険施行時に、依頼されて「これからの介護」ということで、その中で家族構成の変化についての予測について調べて話をしたことがあります。
 その時に「老老介護」として高齢の親を介護する高齢の子供というシチュエーションは広がることを話題にしたことがありました。当時から、認識され人口統計資料も踏まえて認識はされていたはずで、最近分かったというものでは無いはずです。
 「認知症」という用語は2004年に厚生労働省の用語検討会によって言換る報告が出されたのが始まりです。認認介護という組み合わせも実態的には、以前から有ったはずです。
 問題は、従来は大家族で生活をしていたのですが、少子高齢化の進展で、家族構成が核家族化し、小規模化したことで介護を必要とする人同士が同居して生活をせざるを得ない事態が広がっていることでしょう。
 介護保険の施行前後の説明では「家族介護から社会的介護へ」との理想で介護保険制度に取り組んできたと思いますが、その後に介護保険制度の利用抑制施策によって「家族介護」を基本に仕組みを考えていくことが求められることになり、実質的には介護保険の基本理念が異質なものになってきたように実感します。
 それにしても「家族構成の変化」の論点は、今後の介護のあり方を考えるためには重要なベクトルであることは間違いないことです。


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