介護事業所の経営と労務管理

介護事故の対応方針の具体化が大切(09.04.21)

 ある訪問介護サービス中の介護事故の記事を参照していて興味深かったことですが、「介護事故は現象的には『個人のミス』だが、それを発生させる『環境リスク』と、ヘルパー個人の要因があり、特にヘルパー個人の行動や言動で何とか解決したいと小手先の対応をしたことによって、いっそう事故発生後のトラブルが拡大する傾向がある・・・。」と書いていました。
 訪問介護は、ヘルパーが頻繁に担当替えもあり、自分自身が不慣れな利用者宅でサービスを単独で実施しなければなりません。
 「ハインリッヒの法則」というものがあります。これは、労働災害における経験則として定式化された有名なものです。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。
 これを在宅への訪問介護で当てはめると、300の異常が発生し、その中に30程度の事故が発生し、その頂点には重大な人命にもかかわる事故が発生していると考えられます。
 介護における事故を防止するためにも介護事業者は仕組みを見直す必要がありますが、私流に展開をすると、次のような留意点や実施方針となります。

■介護事故対応方針

①「ヒヤリハット」の事例交流の方法などで、予見しうる異常や事故を事前に研究・交流し教育すること。
②軽微な異常であっても組織的に事業所内に報告・相談・連絡を展開し、個人的な判断で対応をしないことを徹底すること。
③異常や事故の発生に際しては、まず、被害者の救済を第一とすること。
④責任の所在は日常から明確にし、責任のなすりあいは絶対に戒めること。
⑤原因調査は、責任探しというより「再発防止」の姿勢を大切にすること。
⑥利用者とヘルパーの間の何らかの「病的依存」関係がないかお互いに注意しておくこと。
 こうした留意事項を明確にして在宅介護は実施されるべきでしょう。




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