Whose number is this? (15.4.16)
今年10月から、日本で住民登録している全ての人にマイナンバーが強制的に割り振られ、共通番号(マイナンバー)制度がスタートし、来年1月からは、社会保障、税、災害対策の行政手続きでマイナンバーが必要になる。
内閣官房のホームページでは、3つのメリットとして、1.国民の利便性向上2.行政の効率化3.公平公正な社会の実現をPRしている。ほほう・・・ちょっと待て、となる。一番に国民の利便性の向上をもってきているが、いったいどんなメリットがあるというのか。私の知るところでは、将来的(17年7月)には、自治体同士でも情報照会が本格化し、窓口での書類の提出が減るなど行政手続きが簡素化することになるらしいが、制度開始時に、国民がその便利さを実感できる場面は少ないという。反面、国にとっては複数から収入を得ている納税者の所得把握の精度が上がるほか、被扶養者の所得要件の確認などに役立つのだそうだ。私自身、姑息な手段によって課税を逃れようというさもしい考えは持っていないので、制度が適正・公平な課税に寄与するのであれば、大いにけっこうな事であると思う。
しかし、である。なぜ「マイナンバー」なんだ。いろいろ制度について知るほどに、これはその呼称からイメージするものとはずいぶん乖離したもののように感じる。そう、これは国民のための国民の番号、つまり私のための私の番号ではない。国家あるいは政府のための私の番号である。ちなみに同様な制度を持つ韓国では「住民登録番号」、米国では「社会保障番号」というらしい。ならば我が国は「共通番号」でいいではないか。先に述べたように、国民の利便性向上を一番に掲げるのであれば、国民自ら設定したIDとPWを利用する制度設計も可能なはずだ。それを「マイナンバー」と名付けるあたり、いかにも日本らしい。
各省庁や自治体では制度導入のためのシステムの準備が遅れているという。企業は、全従業員のマイナンバーを税務署に届け出る義務が生じるほか、その管理のための厳重な体制づくりを強いられることになる。この制度、本当の意味でマイナンバー制度と呼べるようになるといいですね。
(松本秀紀)