「自転車と春風と油揚げ」 (12.3.22)
季節の良くなる春先に、自転車で走るととても爽快だ。
小学校3年生の頃に、春の良い日に自転車で散髪屋さんに行ったときのことを、今でも甘酸っぱい思い出としてよぎるときがある。
自転車の前についているカゴに、迂闊にも散髪代金としてもらった1000円札を放り込んで出発。散髪屋さんについてカゴを見ると空っぽ。
走っているうちに飛んでいったのだろう。
仕方なく散髪せずに、帰って母に、そのことを説明した。母は、田舎の雑貨屋さんを経営していた。いきなり店の「油揚げ」の箱の前に連れて行かれた。
「油揚げを1枚売って得られる利益は1円足らず。1000円を儲けるために何枚売らないかんか、考えてみよ」ということを言われ、立たされた。
今から思うと「経営の原価計算の仕組み」をコンコンとたたき込まれた大切な体験だ。
「自転車と春風と油揚げ」。小さい頃の忘れられない三題噺だ。