今年の年末調整の主な改正点について
所得税法の改正により今年の年末調整の内容が大幅に変わっています。主な改正概要は次の通りです。
①給与所得控除の引下げ
- 一律10万円の引下げ
- 上限の所得控除が適用される給与収入が「1000万円超」から「850万円超」に引下げ
- 上限控除額が220万円から195万円に引下げ
②基礎控除の引上げ
- 38万円から48万円に引上げ
- 合計所得金額が2400万円を超えると段階的に減額
- 合計所得金額が2500万円超は0円
③ひとり親控除の新設・寡婦(夫)控除の見直し
- ひとり親控除の新設
合計所得金額500万円以下のひとり親(未婚者を含む・男女とも)の場合、一律35万円控除 - 寡婦(夫)控除の見直し
- 【改正前後の所得税における所得控除の額(万円)】
④配偶者控除、扶養控除などの合計所得金額要件の見直し
給与所得控除の引下げ、基礎控除の引上げに伴い、各種控除を受けるための扶養親族等の所得要件が引上げられています。
対象 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額 | 38万円 | 48万円 |
源泉控除対象配偶者の合計所得金額 | 85万円 | 95万円 |
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額 | 38万円超 123万円以下 |
48万円超 133万円以下 |
勤労学生(給与所得者本人)の合計所得金額 | 65万円 | 75万円 |
*給与収入のみの場合は影響ありません。
平均賃金の計算方法を解説いたします!!
新型コロナウィルスの影響で休業手当を支給された事業所様も多いかと思われますが、その金額の根拠となるのが、「平均賃金」です。平均賃金は休業手当以外にも様々なケースで利用されます。今回は、休業手当を利用する5つのケースと計算方法についてご説明させていただきます。
平均賃金を計算する5つのケース
平均賃金を計算する必要がある事由のことを「算定事由」といいます。
- 解雇予告手当を計算するとき
- 休業手当を計算するとき
- 年次有給休暇中の賃金を計算するとき
- 労災の休業補償等の金額を計算するとき
- 減給の制裁の制限額を計算するとき
平均賃金の計算方法
基本的な計算方法
【算定事由が発生した日以前の3か月間の賃金の総額÷その3か月間の暦日数】
発生日「以前3か月間」ですが、賃金の締切日がある場合には、直前の賃金の締切日からさかのぼった3か月間を用います。
(例)月末締め・翌月15日支払いとしている会社で、10月10日に算定事由が発生した場合、7~9月の3か月間に支払われた賃金と総日数で平均賃金を算出する。
ただし平均賃金の計算においては、例外的に賃金の総額と総日数に含めないものがあります。
- 「賃金の総額に含まれないもの」=分子から除く
- 臨時に支払われた賃金(退職金など)
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
- 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
- 「賃金の総額にも総日数にも含まれないもの」=分子と分母から除く
- 業務上負傷しまたは疾病にかかり、療養のために休業した期間
- 産前産後の休業期間(産前6週、産後8週)
- 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
- 育児休業または介護休業の期間
- 試用期間(賃金額が低い場合があるため、平均を計算する際になじまないため)
基本的には上記の計算方法で算出することとなりますが、その対象となる3か月間において、実際に働いた日数が少ない場合や、支払われた金額が少ない場合は、平均賃金が本来の給与よりも少額になってしまう場合があります。
それを防止するために、「最低保証額」を算出する計算式が定められています。
最低保障額の計算方法
【算定事由が発生した日以前の3か月間の賃金の総額÷その期間の実際の労働日数×60%】
実際には、原則的な計算式と最低保障額の計算式それぞれで金額を算出し、どちらか高いほうを平均賃金として採用する仕組みになっています。
(例)例えば、日給制(労働日数に応じて賃金が支払われる)の場合、3~5月までの3か月間で支払われた賃金の総額が30万円であり、
暦日数(総日数)=31日+30日+31日=92日
実際に働いた日数 =15日+11日+10日=36日
と仮定すると、
- ①原則的な計算方法
- 30万円÷92日=原則的な平均賃金
- ②最低保障額の計算方法
- 30万円÷36日×60%=最低保障額の平均賃金
となるため、このどちらか金額の高い方を平均賃金として採用する、といった形になります。
最後に平均賃金のポイントをまとめておきましょう!!
平均賃金のまとめ
- 「直前の3か月間に支払われた賃金の総額を、3か月間の暦日数で割る」のが原則的な計算式
- 賃金の総額には、臨時に支払われるようなもの(ボーナス)などを除き、原則すべて含めて計算する(固定残業手当も含めます)
- ただし、賃金の総額を暦日数で割った際に平均賃金が少額になってしまう場合(=実際の労働日数によって賃金の総額が変わる場合など)は、最低保障額の計算式も設けられているため、原則的な計算式で算出した金額と比較して、高い方を平均賃金として採用する
令和3年1月1日に育児・介護休業法が改正されます。
主なポイント
子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります。
- 改正前
- 半日単位での取得が可能
- 1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない
- 改正後
- 時間単位での取得が可能
- 全ての労働者が取得できる
時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。
困難な業務の範囲は労使で十分に話し合ってお決めください。